本研究室が扱う研究領域

我々計算機システム研究室では,いわゆる「コグニティブシステム」(コグニティブ:認知,拡張知能とも訳される)の開発に関連した様々な問題に注目して,研究に取り組んでいます.既存のシステムと比較すると,コグニティブコンピューティングシステムは以下の特徴を有しています:

  1. ある特定の人間的なタスクをインテリジェントな方法で実現するため,機械学習およびディープラーニング技術の活用.
    既存のコンピューティングシステムでは人から与えられた命令に基づいて演算処理するだけですが,コグニティブコンピューティングでは,あるデータと別のデータとの間の関係の判断,データパターンの抽出,コンテキスト要素(例えば,意味,構文,時間,適切なドメイン,場所,規制,ユーザーのプロフィール,タスク,目標など)を特定し,それらの意味を理解し,最終的には予測することをも可能にします.
  2. 適応型処理(アダプティブプロセシング).
    固定的な処理アルゴリズムを実行する従来型システムとは対照的に,コグニティブシステムでは,その処理アルゴリズムを新しいデータの出現に対しても適応させます.人間の脳と同様に,新しい環境,新しい目標,そして新しい要求に対して動的に適応可能であることが求められます.
  3. 自己学習
    これからのシステムはデータだけでなく経験からも学ばなければなりません.自己を教育し,経験したことを暗記し,またその知識を拡張する能力は,コグニティブコンシステムにとって必要不可欠なものです.

  4. インタラクティブ(双方向,対話型)
    コグニティブシステムには,自然な方法でユーザーと容易に対話する能力が求められます.ユーザーが何不自由なく,自分のニーズをうまく伝え,システムが正しく理解できなければなりません.同様に,他のプロセッサ,デバイス,クラウドサービスともやり取りする必要があります.

コグニティブコンピューティングのゴール(最終目標)は,コンピュータモデルとして,人間の思考をシミュレートすることだと言ってもよいでしょう.


現在の研究室の活動内容

研究室では現在現在,ヘルスケア,顔認識,人間行動認識などのためのコグニティブシステムについて,研究活動を進めています.
主な研究テーマは以下の通りです:

パーセプション(認知・知覚)システム
人間の健康状態,視線の方向,身振り,行動等を監視するための,目立たなく,かつ,堅牢な低エネルギー消費の検知技術および装置の開発


機械学習
人間の顔、身振り、行動、姿勢などの深層学習に基づく認識.
思考表現、モデル化、生成のための技法の開発.

Internet-Of-Things (IOT)
各種デバイス間の低消費電力IOT通信技術に関する研究.


人間-機械間インタフェース
人間と計算機システムの間の,目立たない自然な対話を実現するための新技術.


近年の研究成果について知りたい方は,下記をクリックしてみてください.
(下記リンクのページに入るには,ユーザ名,パスワードの入力が必要です.また,動画像が多いので,ネットワークの課金量には注意してください.)

近年の研究成果

20世紀において,工場の生産・組み立てラインの自動化がブルーカラー層(工場労働者階層)への脅威となったように,21世紀では,コグニティブコンピューティングがホワイトカラー層,専門知識職への脅威になると,科学者たちは主張しています.すなわちコグニティブコンピューティングは私たちの生き方,働き方,考え方を変えることになります.だからこそ,この技術の研究は大変重要なものとなっています.

私たちとともに,コグニティブコンピューティングの研究を進めてみませんか!